エンジニアリング組織論への招待 Chapter2 - 読書メモ
エンジニアリング組織論への招待
目次
- Chapter1:思考のリファクタリング
- Chapter2:メンタリングの技術
- Chapter3:アジャイルなチームの原則
- Chapter4:学習する組織と不確実性マネジメント
- Chapter5:技術組織の力学とアーキテクチャ
書籍
Chapter2:メンタリングの技術
メンタリングで相手の思考をリファクタリング
メンタリング
- 相手の歪んだ知識を補正し、次の行動を促し成長させていく手法
- 「思考のリファクタリング」の考え方を使う
メンタリングとエンジニアリングの関係
- エンジニアリング
- 不確実性を削減する工程
- 組織として力を発揮するには?
- 「人間の不完全さ」の影響を削減することが重要
- 組織として力を発揮するには?
- 不確実性を削減する工程
- コードレビュー
- 問題に対するより良い考え方に気づいて成長を促す
- コードを書いた人自身が、指摘のポイントに気づくよう促せるとベスト
- 問題に対するより良い考え方に気づいて成長を促す
- ペアプログラミング
- 相互に対話的に問題解決を行うピアメンタリング技法
- ナビゲーター・ドライバーを経験することで問題解決に対する考え方のレベルが向上し、成長を促す
- 相互に対話的に問題解決を行うピアメンタリング技法
- 障害時ハンドリング
- 障害のときは目の前の課題に目が向いてしまいがち
- 障害時のハンドリングを行うには司令塔が必要
- 情報を整理し、不確実な状況から順番に原因を特定し、障害を収束させるためにチームを支援していく
- チームマネジメント
「自ら考える人材を作る」ためのテクニック
- メンタリング
- 「自ら考える人材を作る」テクニック
- 「自立した人材」
- 「自ら考える人材を作る」テクニック
- 人材タイプ
- 依存型人材
- 問題を与えられてから考える
- 問題と解決策を渡されてから考える
- 自律型人材
- 自ら問題を発見し解決することができる
- 問題について、自分事として捉えている
- 依存型人材
- 依存型人材と自律型人材を分ける要素は?
- 上司と部下という関係における期待値の問題
- 期待値が調整されていない
- 提案しても却下され続けてしまう
- 負のフィードバックサイクル
- 「学習性無気力」が生まれてしまう
- 期待値が調整されている
- 提案して動いた結果評価される
- 正のフィードバックサイクル
- 「自己効力感」が生まれる
- 期待値が調整されていない
- 上司と部下という関係における期待値の問題
効果的なメンター/メンティの関係性
- メンターとメンティの関係性を効率的なものにするための条件
- 謙虚(Humility)
- お互いに弱さを見せられている
- 敬意(Respect)
- お互いに敬意をもっている
- 信頼(Trust)
- お互いにメンティ(自身)の成長期待をもっている
- 謙虚(Humility)
- メンターとピアメンター
- 階段を上る手助けをする
- メンティを階段を上らせるために必要なこと
- 階段を認識させる
- 見えていない課題に自分で気づかせる
- 壁に梯子をかける
- 成長を実感させ、正のフィードバックを促す
- 階段を上りたくさせる
- 自ら考え行動するよう促す
- 階段を認識させる
- メンティを階段を上らせるために必要なこと
「他者説得」から「自己説得」に
- 応用力
- 自ら獲得した知識だと感じることによって生まれる
- 自己説得
- 自ら獲得した知識だと感じることによって生まれる
- 他者説得
- 自分以外の他者から、たとえや理屈、学習などを通じて、その事を説得すること
- 特徴
- 他人が答えを伝える
- 体感を伴わない
- 理解を確認できない
- 納得が伴わないためメンティの行動を変容させることができない
- 自己説得
- 周りの状況などから、自ら今までわからなかったことを理解した状況
- 特徴
- 他人が質問で促す
- 体感を伴う
- 行動の変化が発生しやすい
- 質問を通じてメンティにとっての盲点となっている部分を外していき、自ら解決策に導く
「悩む」と「考える」の違い
- 悩む
- 「次に取るべき行動」がわからずにいる状態
- 考える
- 「次に取るべき行動」を行うこと
- メンターは「悩み」を聞き出し、気づきを促して、「考える」に変えていく
傾聴・可視化・リフレーミング
メンタリング
- その問題が解けない理由を1つずつなくしていき、「ひとりでも」解けるパズルに変換すること
空っぽのコップにしか水は入らない
「傾聴」と「ただ話を聞くこと」の違い
ただ話を聞くこと | 傾聴 |
---|---|
「自分の」意見を言う | 「相手の」感情への共感を言動で表す |
「自分の」興味のあることを質問する | 「相手の」話の内容を「可視化」する |
「自分に」興味のないことには興味がなさそうな素振りをする | 「相手の」思考の「盲点」を探索しながら質問をする |
共感をして話を聞き出す「信号」
- しぐさ・うなずき・座り方
- スマホを見たり、手で机をタップするといったしぐさはNG
- ポジティブな話→早く細かくうなずく、ネガティブな話→ゆっくり深くうなずく
- 横に座り、自分の全身が見えるようにして話をする
- 表情
- 「相手の目を見て話す」のは威圧的に感じつ場合もあるので注意する
- 相手と同じ様な感情を表現する→「ミラーリング」
- あいづち
- 「Aさんが、〜したんですね」「〜が許せないんですね」といった、要約や共感という形であいづちを打つ
- 気がつかない信号を指摘してもらう
- メンティに気になる所があったら、教えてほしいと伝える
- 共感と同感
- 共感
- 相手がそのような気持ちになった理由を理解する
- e.g. 「そういう理由であの人が許せないんですね」
- 同感
- 自分が相手と同じ気持ちになる
- e.g. 「確かにあの人は許せない!」
- 共感
問題の「可視化」と「明晰化」
- 「可視化」と「明晰化」
- 事実と意見を分ける
- 「可視化」するのは事実関係
- 感情と癒着した問題には事実がはっきりしない表現が出てきやすい
- 質問を通じて事実関係を切り出していく
- 感情と癒着した問題には事実がはっきりしない表現が出てきやすい
- 「可視化」するのは事実関係
- フォーカスポイントを作る
- 色々な悩みをまとめて全部解消することはできない
- 問題を分解し、1つ1つにフォーカスして解いていく
- 色々な悩みをまとめて全部解消することはできない
- 衝突から比較可能への変換
- 「悩んでいる」状態
- 「選択肢」が不明確
- 「比較軸」が不明確
- 「評価方法」が不明確
- これらを明らかにして解けるパズルに変換する
- 「悩んでいる」状態
認知フレームとリフレーミング
- 人はありのままに物事を見られない
- 物事を認知できる枠組みが存在する
- 「認知フレーム」
- 認知フレームは「焦り」「優先順位」やちょっとした発言で変えることができる
- 「リフレーミング」
- 「解けない問題」から「解ける問題に」変換する
- 物事を認知できる枠組みが存在する
- 認知フレームを発見する「キーワード」
- 前提の「確認」と「取り外し」
- 前提
- 「常識」や「普通はこうする」といった認知フレーム
- 質問を通して前提を「確認」し、不要な前提は「取り外す」
- 「そもそも、何で〜なんですか?」
- 「これは必ず必要なんですか?」
- 前提
- 情報の非対称性の解消
- 情報の非対称性
- 自分は「わかっている」けど、相手はわかっていない
- 相手は「わかっている」けど、自分はわかっていない
- 解消するには
- 自分の情報を相手に伝える
- 相手の情報を自分が聞く
- 「相手は〜と思っているに違いない」「自分の考えは相手に伝わっている」といった認知フレームがあると、当たり前のことができなくなってしまう
- 相手に情報が伝わっているか確認する
- 情報の非対称性
- 課題の分離
- 不安や悩みを抱えると問題が大きくなってしまう
- 課題を分離する
- 思考の範囲をクリアに限定する
- 「あなたにとって具体的に何が問題か」
- 「あなたがコントロールできるものは何か」
- 「どうなればその具体的な問題は解消されたと言えるのか」
- 不安や悩みを抱えると問題が大きくなってしまう
心理的安全性の作り方
心理的安全性
- 対人リスクを取っても問題ないという信念がチームで共有されている状態
「アットホームな会社」は心理的安全性が高いか
影響 | 解説 |
---|---|
率直に話すようになる | 課題について他の人がどう思うかをそれほど気にしないでも発言できる |
考えが明晰になる | 不安が少ないため認知の歪みが少なく、考えを明晰に表現できる |
意義ある対立が後押しされる | 関係性の悪化に伴った対立ではなく、より本質的な対立を健全に議論できる |
失敗が緩和される | 失敗を報告しやすくなり、ミスについて話し合う機会が増え、学習を行える |
イノベーションが促される | 今までの前提を取り払って、思考することが出来るようになり、創造的な意見が出る |
組織内の障害で履く目標に集中できるようになる | 目標に対してストレートに向き合えている。組織内の理不尽を取り除くことに力をかけないでも済む状態にある |
責任感が向上する | 対人リスクを取っても、目標に対して自律的に行動出来るようになる |
- 心理的安全性と責任
- 自己主張と同調圧力
- 「同調圧力」
- 周囲と出来る限り同調してコミュニケーションするような環境・集団心理
- 対人リスクを避けている
- 自己主張しづらい
- 「同調圧力」
- メンタリングにおける心理的安全性
- メンタリングを効果的にするためには
- 「対人リスク」が取れる状態を構築する
- 「対人リスク」が取れる状態にするには
- 自分の弱さ・自分の失敗を開示する
- 「〜で失敗したけど、〜したら上手くいって成長した」といった物語で自分の弱さを開示する
- 自分の弱さ・自分の失敗を開示する
- メンタリングを効果的にするためには
アクノレッジメントとストーリーテリング
- アクノレッジメント
- 「承認」
- メンティの存在・行動を理解し、受け入れ、感謝を伝えること
- アクノレッジメントには3つの段階がある
- 「承認」
- YouメッセージとIメッセージ
- Youメッセージ
- 「あなたは〜だね」
- Iメッセージ
- 「わたしは〜と感じた」
- ニュアンスを変えることで、よりアクノレッジメントを伝えやすくなる
- Youメッセージ
- フィードバックを求める
- メンターがメンティに相談して意見を求める
- 求められているという体験は、自己承認と自己効力感を生み出す
- 当たり前のことを意識してやる
- アクノレッジメントは当たり前なことばかりだが、忘れてしまいがち
- ちゃんと挨拶する
- 無視しないで話を聞く
- 相手に感謝を伝える
- 気にかけて話しかける
- 自分本位ではなく相手本位で話をする
- アクノレッジメントは当たり前なことばかりだが、忘れてしまいがち
- メンターがメンティに相談して意見を求める
ストーリーテリングの重要性
- 自己開示
- 包み隠さず苦労や思いを伝えることが重要
- 問題を乗り越えられるという感覚を得てもらう
- 包み隠さず苦労や思いを伝えることが重要
- 感情の共有
- 「辛い」や「憎い」など、感情を説明する
- 自分事として理解し、話を深く聞いてもらう
- 「辛い」や「憎い」など、感情を説明する
- 価値観の共有
- 「伝えたい価値観」をはっきりさせておく
- 同じ様な価値観を持つことの重要性を理解してもらう
- 「伝えたい価値観」をはっきりさせておく
- 半報性の原理
- 人から施しをもらうと、自分もお返しが必要と感じる心理
- メンティ自身の「自己開示」を引き出す
- 人から施しをもらうと、自分もお返しが必要と感じる心理
内心ではなく行動に注目する
内心は見ることができないが、行動は見ることが出来る
- メンタリングの最終工程
- SMARTな行動
- 「SMART」
- 「言葉は決して正しく伝わらない」という前提のもと、少しでも解釈の差を減らしていくための原則
- Specific(具体的な)
- 何をするのか解釈にブレの少ない言葉にする
- Measurable(測定可能な)
- 行動が行われたことを、どのようにして計測するのかを合意する
- Achievable(到達可能な)
- メンティに十分コントロール可能である行動を合意する
- Related(関連した)
- 課題と行動の関連性をメンティ自身が「説明できる」ような行動にする
- Time-Based(時間制限のある)
- いつまでに行われ測定されるのかが決まっている
- Specific(具体的な)
- 「言葉は決して正しく伝わらない」という前提のもと、少しでも解釈の差を減らしていくための原則
- 「SMART」
- 「わかった?」は意味のない言葉
- 「わかった?」と聞く
- 「わかりました」「わかりませんでした」
- わかったかどうかの情報が、メンティの頭の中にしかない
- 「わかりました」「わかりませんでした」
- 「わかる」の定義を「具体的な行動を行うことができる」とすると
- 「〜をやってみて」「〜をせつめいしてみて」
- 観測可能な行動を通じて、理解を確認する
- 「〜をやってみて」「〜をせつめいしてみて」
- 「わかった?」と聞く
- 人の成長のサイクルは、行動・習慣・能力・成果の4つの事柄のループ
なぜ行動を起こせないのか?
- 「行動変化」を起こすことができないとき
- 行動を「阻害する力」と「促進する力」が働いている
- バランスによって行動が行われたり、行われなかったりする
- 行動を「阻害する力」と「促進する力」が働いている
- 「行動を促進する要因」
- フィードバック機会を増やし、適切に承認していくことで強化
- 「行動を抑制する要因」
- 環境や構造を変えるための行動に変換して、その行動を促していく
ゴールへのタイムマシンに乗る
- メンタリング
- 自律的な人材を育むために行う
- 自分が気づかなかった問題に気づくようになる
- 認知の歪みによる感情と問題の癒着を切り離せる
- 答えではなく、次の一手を生み出す行動が取れるようになる
- 「ゴール認識」が重要
- ゴールによって「認知フレーム」が変わる
- 高いゴール設定と「ゴール認識」のレベルが伴う必要がある
- ゴールによって「認知フレーム」が変わる
- ゴール認識のレベル
- レベル4になると、習慣が変化し始める
- 「ゴールへのタイムマシンに乗った」状態
- レベル4になると、習慣が変化し始める
- 自律的な人材を育むために行う